特別企画#1 開発者インタビュー#1

バッカーの皆様、こんばんは!
素敵なアップデート情報の、お披露目の場にお集まりいただきありがとうございます!

キャンペーンアップデート

コミュニティゲーム

週末になりました。コミュニティゲームは全ての達成条件をクリアすることができました。
STURDIER KEYCHAINが達成され、キーチェーンが丈夫なものになりました。
今週のコミュニティゲームは完全にクリアです!

と思いきや、倒したはずのグイベルの様子が……!
まだ気を抜かないでください。

ストレッチゴール

ストレッチゴールの数についての質問を数多くいただいております。

私たちにとってストレッチゴールは非常に重要で、ゲームのプレイバリューを上げるものをいくつか用意しています。
しかし予算に余裕がない場合に、あまりにも多くのゴールを設定するのは、キャンペーンの失敗を招くことになりかねません。
私たちはこうしたゴールのコストを分析し、完遂できると確信が持てる地点にそのゴールを設定しております。
『Armed Fantasia』の最初のストレッチゴールは$750,000から始まりますが、ゴール達成まであと少しとなりました。
すでにダブルキックスターターのコンボゴールとしては、皆様の支援のおかげでプレッジ額$750,000は突破して、
開発プロジェクトも確定し、コンソール機への対応も決定しました。

ですが、『Armed Fantasia』の最初のストレッチゴールの達成のためには、『Armed Fantasia』だけで$750,000を必要とするのです。
この規模のゲームを本格的に開発するためには、多くのご支援を必要としています。
引き続いての応援とご支援をよろしくお願いします。

ストレッチゴールの進行状況を見て、特定のゴールを再設定する可能性もあります。
もしよろしければ、どんな目標があれば、皆様が嬉しくなるかを教えていただければ幸いです。

コンテンツアップデート

ゲームは開発者の手によって制作されています。
こうしたスタッフについては、インタビューやメディア露出を通してやっとその人となりを垣間見ることができます。
しかし私たちは、それだけに留まらず、AMA(Ask me anything:なんでも聞いてください)やDiscordチャンネルに開発スタッフに出演してもらい、バッカーの皆様をクリエイター達と繋げる場を設けることを企画しています。
それまでに、まずは開発者インタビューの第一弾を楽しんでください。

トータルゲームデザイナー・シナリオライター 金子彰史氏インタビュー

トータルゲームデザイナー・シナリオライター 金子彰史氏

(インタビュー収録は、キャンペーンスタート前に行いました。ご了承ください)

――簡単に自己紹介をお願いします。

株式会社アリア・エンターテインメントの金子です。会社員です。
クロスメディア部の統括本部長をやらせてもらってます。

弊社は音楽の会社なのですが、
メディアの垣根を越えて様々なIPを発信する会社でもありまして、
自分の部署がその役割を担っています。
今日はよろしくお願いいたします。

――『ARMED FANTASIA』ではトータルゲームデザインとシナリオを担当されていますが、トータルゲームデザインとはどんな役割なのでしょうか?

コンセプトリーダーとして全体の方針を取りまとめ、
各担当が作業できるようにイメージを共有するのが最初の仕事です。

他にもいろいろやります。簡単に言えば雑用係です。

――例えばどんなことですか?

パッと思いつくところでは、
NPCの台詞を書いたり、
タイトルロゴ他、各種デザインの発注をしたり、BGMの発注をしたり、
フレーム単位でBGMのアサイン調整したり等々、様々です。
バトルシステムやフィールドシステムの叩き台も自分の仕事です。

過去のプロジェクトでは宣伝用の惹句を書いたり、
モーション作りのための武術指導したり、音響監督の真似事なんかもしているのですが、
はたして今作では、何役やらせてもらえるのか判明していません。

あ、登場するカイジュウの設定も自分が考えています。
前述した作業は、全部誰かに任せてもいいのですが、
カイジュウに関わる作業だけは他人に譲るつもりはありません。大切なので。

逆に言うと、カイジュウに関わる作業をやらせてもらう代わりに、
他のいろいろな仕事を押しつけられているのかもしれません。

――これまでどんなゲームに携わってきたのですか?

まず最初は、PC-Engine SUPER CD-ROM2の開発チームに
アシスタントプランナーとして配属されたのですが……

今だから言えることですが、入社してから半年後くらいだったかな?
携わった二本目のタイトルがいろいろとうまく進行していなかったので、
これを好機と考え、自分が矢面に立ってクロージングするから
リーダーにしてほしい(意訳:薄給はもうコリゴリ)と会社上層部に直談判したのが、
本格的なキャリアのスタートになるのかもしれません。

その次の、三本目のタイトルから晴れてメインプランナーとなったわけですが、
当時の会社から出されたのが、
三か月でリリースしろという、笑っちゃうくらい今では考えられないような条件でした。

こういった感じでキャリアを積んでいるので、
まずは期間や予算、参加スタッフの向き不向きを前提にプランニングし、
その隙間、合間に自分のやりたいことを仕込むスタイルが確立しちゃいました。

代表作の1つである『ワイルドアームズ』の一作目も、そんな経緯で始まっています。

なので、今回のキックスターターのように、
やりたいことをまず最初にぶち上げるというのは、あまり慣れていないというか……
正直、初めてだったりするのでドキドキしますね。

――ゲーム業界に入りたいと思ったきっかけを教えていただけますか?

きっかけは明日のご飯を食べるためです。

自分は頭も良くなければ、体力に秀でている訳でもありません。
親父のように堅実な会社務めもできそうにないし、
だからといって芸能人になれるような器量だって持ちあわせていません。

そんな何もない人間がこの街で生きるには、
もはや犯罪に手を染めるしかないと人生を諦めかけていたのですが、
ある日、本屋で偶然出会った一冊の本、
「RPG製作ノート MAKING OF MADARA」を読んで、
ゲームの企画書(後の『ワイルドアームズ3』)を書くことができ、今に至っています。

途中を端折ったり一部に脚色がありますが、だいたいこんな経緯です。

子供の頃からゲームは好きだったので、
娯楽を生業にできればと夢想していましたが、
まさか現実のものになるとは思ってませんでした。

――ここ15年は、どんなお仕事をしていましたか?

対戦アクションゲームを作ったり、
名前を伏せて知人の作るゲームを手伝ったりしていました。
それ以外のお仕事となると、ゲームではなくテレビアニメの制作に関わっていました。

当初、テレビアニメのお仕事は、ちょっとだけお手伝いのつもりだったのですが、
気が付くと原作、脚本、構成までやらせていただくことなり、
支持してくれる方々のおかげでシーズン5まで続くロングシリーズになりました。
なので、もしかすると……
今では外からの見え方がすっかりアニメの人になっているのかもしれません。

今回のキックスターターをはじめる直前まで、
いくつかのアニメ企画の立ち上げに携わったり、脚本を書いてたりしましたが、
それらの作業を落ち着けて準備を整えましたので、
監修やゲストライターではない形では、久しぶりのゲーム開発となります。

個人的には、ゲームとアニメの区分を強く意識せず、
どちらも同じエンターテイメントの世界で仕事しているつもりですので、
この15年、特別変わったキャリアを積んだという意識はありません。

振り返ればこれまで通り、締め切りに追われる15年でした。

――アニメで素晴らしいキャリアを築かれたと思いますが、ゲーム制作とアニメ制作ではどちらが好きですか?

一言で言うと、どちらも好きです。大好きです。
おそらく取り上げられて一番困るのが、ゲームやアニメを作る時間です。

もちろん寝られなかったり、追い詰められたり、しんどい事も多々ありますが、
それでも比較してお釣りがくるくらい楽しいです。

正直、ゲームやアニメを楽しむよりも、それらを作る方がもっと楽しいです。

実際、アニメの作業している時は、
休日に、開発する予定の無いゲームの企画書を書いたりしてたくらいです。

でも、その時に考えていたあれやこれやが、
今回の『ARMED FANTASIA』の企画に活かされていたりするので、
心の中では、「いつか開発にこぎつけてやる」という野心みたいのがあったのかもしれませんね。

――個人的に好きなゲームをいくつか教えてください

自分のように中途半端なオタクは、
こんなふうに訊かれてもパッと絞り込めないんですよ。

今、伸ばした手の届くところには、
対戦格闘ゲームとメトロイドヴァニアがあります。
あと、肌身離さず縦スクロールのシューティングゲームを持ち歩いています。
仲間との作業場には各種ボードゲームも常備していますね。

電源系、非電源系を問わず、ほぼオールジャンルを楽しむことができるのですが、
モノポリーライクなパーティゲーム系は比較的苦手かもしれません。
面白く盛り上がるんですけど、
器が小さいせいか、十中八九、一緒に遊んでる友人と険悪なムードになってしまうので。

そう考えるとパーティゲーム系でも『Among Us』はすごく好きですね。
人狼系のゲームは、プレイヤーの性格の悪さがネガティブな方向に作用せず、
ポジティブに面白さへと直結してるので、ホント良くできた構造だと思います。

性格の悪い友人を嫌いになることもないし、
性格の悪い自分が嫌われることもないので、安心して遊べます。

――では、好きなアニメは何ですか?

子供の頃は、ロボットが活躍するアニメが大好きでした。
戦艦とかスーパーカーとかのメカも好きだったけれど、やっぱ人型。ロボットです。
それも人が乗るようなでかくて雄々しいロボットを好きになる傾向が強いです。
合体とか変形とかあるとなお良いです。

成人してからは、相変わらずロボット大好きではありますが、
子供の頃以上に海外のカートゥーンを楽しむようになりました。

好きなアニメ……とは話が若干逸れますが、
『The Spectacular Spider-Man』のシーズン3、今でも待ってます。
制作中止なんて意地悪しないで、どなたか作ってください。
キックスターターがあれば投資します。

あと、日本のメーカーは、
もっと海外のカートゥーンをローカライズしてソフト化してください。
キックスターターがあれば投資します。(二回目)

――どうしてキックスターターをやってみたのですか?

「ご縁があった」「そういう話をいただいた」というのがきっかけになります。

それでも実際にキックスターターでのゲーム開発を決意したのは、
自由なモノ作りができそうなところに惹かれたからです。

自分はとても幸せな事に、
子供の頃から大好きだったゲームやアニメのお仕事に関わることができました。
そのうえで、次は何をしようかと考えた時に、
敷かれた線路の無い、もっと自由な現場を知るのも面白そうだと思いまして。

もちろんこの歳になると、線路の敷かれていない現場が、
どれだけ残酷で危険な世界であるかはそれなりに理解しているつもりです。
ただ、それでもやってみたいという好奇心を抑えることができませんでした。
怖いもの見たさというのは、きっとあるかもしれませんね。
実際、ホラー映画とか大好きですし。

あと、キックスターターだけど顔出ししなくてもいいよと口説かれたのも、
個人的には背中を押されたポイントだったりします。

――そういえば、どうして顔出しをしないのでしょうか?

たいへん申し訳ありませんが、今回のインタビューに関わらず、
以前より自分に関する情報を公にする事は極力控えるよう努めています。
姿だけでなく性別や誕生日、血液型といったものも明言するようなことは
キャリアスタート以来していません。
まあ、過去に受けてきた膨大なインタビューの受け答えで、想像できる部分はあると思いますが……

今回のキックスタータープロジェクトも、
まず最初にそうした個人情報を伏せたまま行うという事を条件に引き受けたくらいです。

その理由は、自分という存在や情報が
作品にとってノイズになると個人的には考えているからです。

例え話になりますが……
現実世界で温厚で誠実な人物がweb上では粘着的な攻撃性を発揮するなんて事は珍しくありません。
それは正体を伏せる事で、人は別の誰かに変貌できる証左だと思うのですが、
まさに自分の場合も、自分に関する情報を抑えることで、
前向きなバイタリティに溢れた主人公から、人の道より外れた悪漢にまでなりきって、
台詞や物語を書けているという事実があります。

今回のインタビューでも自分の姿を伏せさせていただきましたが、
その分、実際の自分には似ても似つかない前向きなバイタリティに溢れた主人公や、
人の道より外れた悪漢を存分に書いていきたいと思います。

――このゲームで一番大きな売りを3つ挙げてください。

昔話に出てくる「とんち」みたいな質問ですね。驚きました。

知る限り、「一番大きな売り」は1つしかないはずなので、
1つだけの提示でご容赦いただきたく思います。

今作の一番の売りは、
ストーリードリブンタイプの、いわゆるJRPGでありながら、
当世風の3Dグラフィックにアップデートされた広大なワールドマップを備えているところです。

陸海空の乗り物を駆使しつつ、
探索可能なエリアを少しずつ広げていくという昔ながらの冒険感の追求は、
リアリティを重視する近年の流行とは異なるのですが、
だからこそ今になく、他にない特徴となっていると考えています。

――今回の難易度は今までのタイトルより優しいでしょうか? それとも難しいでしょうか?

ゲームの難易度を語る以前に、
全く完成していない現時点で、難易度についての回答が非常に難しいです。

人によっての「難しい」の捉え方は、天地の差くらいありますし、
何より自分の中にも……
「ここは物語的にクライマックスなので、勢いよく先に進めたい」と主張する、
シナリオライターとしての金子がいれば、
「いやいやクライマックスだからこそ、相応のレベルデザインでなくちゃ」と主張する、
ゲームデザイナーとしての金子も同時に存在しますので一貫性はありません。

難易度の落とし所には、いつも担当スタッフと最後まで頭を悩ませています。

それでも、現時点でブレずに定めておきたいのは、
本作『ARMED FANTASIA』のジャンルは、あくまでもJRPGだという事です。

キックスターターがうまくいって、
冒険の舞台となる世界の広さや物語のボリュームを充分に用意できるならば、
アクションゲーム的な反射神経や指先の技術を高く求めすぎない、
JRPGとして遊びやすい難易度に落着させるのが最適解だと考えています。

話は若干、脱線しますが、
JRPGとして遊びやすい難易度を追求するのは、
あくまでもメインストーリーの流れにおいてです。

本筋を離れたところには、
きっと今作でもラスボス以上に強力なカイジュウが待ち構えている。……かもしれません。
(あれ? 設定的にはラスボスの方が強いかも?)

――今回の物語の世界も荒野を舞台としていますが、これまで手掛けてきたゲームの世界観と違う点はありますか?

過去に荒野を舞台にした作品をいくつか手掛けてきましたが、
そのいずれも同じ世界ではありません。
今回の荒野も、全く別の作品、別のゲームとして世界設定しています。

あくまでも比較の話となりますが……

荒野成分というか、西部劇色は強めかもしれません。

公開している主人公たちの武器はSFチックなデザインとなっていますが、
実はこれ、本編ストーリーの中盤以降に手に入る武器と想定しています。
序盤はもっと西部劇風のレトロなデザインの武器になるはずです。

砂埃舞う乾いた西部劇風の世界に、
ARMに見られるようなSFチックな要素と、
聖鍵教会に見られるようなファンタジーに寄った要素が混在するのが今作の世界観です。

何故、このアンバランスな建てつけとなったのかも今作の物語の核だったりします。

――シナリオへのアプローチは今まで通りでしょうか? それとも世の中が変わってアプローチを改善するところが生じましたか?

取り立てて意識していないのですが、
シナリオを書いている人が変わらない以上、
アプローチも大きく変わらないのではないでしょうか?

過去に携わったゲームもテレビアニメも、
その当時の、最先端を意識して書くなんてことはしていないし、
むしろ、今どきのお客さんは見る目も厳しく育っているので、
信念もなく時流に阿った要素を取ってつけると、逆に冷めてしまう気がしています。

自分が書いているのは、教科書でなければ啓蒙書でもありません。
娯楽です。だから、学校では教えてくれないこといっぱいなんです。

改善も改悪もなく、
昔も今も、自分の「大好き」を誰かと共有するために書いています。

――Seigfriedなど好かれている人気キャラは今作に出ますか?

何よりもまず、ジークフリードがこのようなインタビューで
ピックアップされるくらいの人気キャラだったことに作った当人がびっくりしています。
(日本のメディアのインタビュワーからは絶対にない質問です!)
ある意味において主人公たちと近い目線で立ち回る、
頑張り屋さんの悪役であるジークフリードはお気に入りでもありますが……

それでもジークフリードは、自分が過去に制作に携わっていた、
『ワイルドアームズ』シリーズ(1.3.F)に登場するキャラクターですので、
今回の『ARMED FANTASIA』に出番はありません。

『ワイルドアームズ』シリーズの定義の1つに、
「トニーに始まり、ラギュ・オ・ラギュラで終わる」というのがあるのですが、
『ARMED FANTASIA』には、そのどちらも登場しません。
何故ならば、今作は『ワイルドアームズ』シリーズではないからです。

もしも、期待しているファンがいらっしゃいましたら、最初に謝っておきます。
別のタイトルに登場した過去キャラの登場はありません。ごめんなさい。

他にも「並行世界に9体存在するマザー」とか、
シリーズを跨いで登場する「スマッシャー」「インパルス」「ノヴァ」といった、
3タイプのアークドライブウェポンの秘密とか、
たくさん残されたままとなっている『ワイルドアームズ』の設定を、
別タイトルである『ARMED FANTASIA』で補完するという事もありません。

逆に言うと『ARMED FANTASIA』は、
過去に金子が携わっていたシリーズに触れていなくても遊べるタイトルを目指しています。

――今回のタイトルはフルボイス搭載でしょうか?

ボイスの実装を想定して仕様を作成しているのですが……

この質問に答えている段階ですと、どれくらいの開発予算が集まるのか、
そして、どれくらいの予算をボイスに割けるのかが全く見えていないので、
しっかりとした返答が難しいところとなっています。申し訳ありません。

とはいえボイスアクターによるお芝居は、
間違いなくキャラクターや物語に彩りをそえてくれるので、
出来る限りの事はしたいと考えています。

――ボイスの言語を変更できますでしょうか?

実際にボイスを実装するとなれば、
日本語と英語の切り替えはできるようにしたいです。

――シナリオを執筆するゲームのBGMは、すべて自身で細かく発注しているとのことですが、
 『ARMED FANTASIA』の楽曲で重要視しているポイントがあれば教えてください。

ゲームの現場でも、テレビアニメの現場でも、
いつも音楽に重きをおいた作品づくりを心掛けています。

自分が現場で良く使うフレーズとして、
「全曲、BGMではなく歌のつもりで作ってほしい」というのがあるのですが……
実際は、そこまで極端ではないものの、
このフレーズには自分なりの哲学というか、
作品に対する音楽の位置づけを直截的に表現しているので
今作の作曲家たちにも一番最初に伝えました。そして案の定、困惑させました。

もちろん、力強い音楽になるほどBGMとしては取り回しが難しくなるのですが、
それを使いこなして演出していくのが自分の仕事です。

腕のある作曲家にいい曲を書いてもらって終わり、としないのが、
いつだって自分の現場では重要視しているところなのかもしれません。

――過去20年間でJRPGはどんなふうに変わってきたと思いますか?

JRPGって作るのにお金はかかるけれど、
かけたお金を回収するのがとても難しいジャンルになっていった印象があります。
それこそ、予算に見合わないので必殺技の数を減らせとか、
ワールドマップを失くせとか、あちこちが窮屈な枠組みだらけです。

逆に、そんな窮屈だからこそなのかもしれませんが、
今どきのJRPGを作っているスタッフのスキルだったりセンスだったりは、
プレステ2時代と比較すると、ものすごく高いレベルに伸びている気がしています。
枠組みをものともしない豊かな発想で
それぞれ独自方向に先鋭・進化してきたというのが個人的な印象です。
実際、どれも良くできているし、何よりちゃんと面白い。

一時期JRPGって、とくに海外からは蔑称だったじゃないですか。
それがいつの間にか、そういうジャンルとして確立し、認知されるまでになっています。
世界規模の認識を覆すなんて、並大抵の事ではありません。

間違いなくJRPGは、強く生まれ変わってきていますし、
あの頃と変わらず、最高のゲームジャンルの1つだと思います。

――過去の作品の中で今思い返すと上手くいかなかったと感じるシステムやゲームプレイの要素はありますか?

うまくいかなかったことはもちろんあります。
バトルだけでなく、あちこちにたくさんあります。
リアルの人生に躓くなんて、わりとしょっちゅうです。

もちろん、そうなってしまったことを日々、反省していますし、
こうしてまた新しい挑戦ができることを、反省と同じ数だけ感謝しています。

ありがとう&がんばるよ!

今回の『ARMED FANTASIA』でも、
新しいスタッフたちと共にたくさんの新要素にチャレンジしています。
今はまだ、そのほとんどが脳内の妄想に過ぎないのですが、
早く目に見える形にまとめて、皆さんに見てもらえるようにしていきたいです。

――以前のタイトルでファンから不評なところで、今回直したいものはありますか?

日々、膨大な反省にまみれて生きている恥の多い人間ですので、
そうした修正はあると思いますし、実際にあります。

ただ、これはあくまでも自分自身の哲学なのですが……

反省点、不評なところを適宜修正し、丸く正していったところで、
必ずしもチャーミングポイントに到達できるとは考えていません。

なので、開発スタッフとのミーティングでは、
「〇〇なシステムを搭載したけれど考え足らずだった。めっちゃ怒られたよ」
「時間の都合で××せざるをえなかったけど、想定以上に不評だった」
……といった、自分のやらかし、失敗を包み隠さず共有し、
ただの修正ではなく今作ではどうするか、
「方針」を新たに定めることに重きを置いているつもりです。

――コンテンツクリエイター向けのライブストリーム用の特色等はありますか?

ストリーマーと一緒に盛り上がるのは、
今どきの遊び方だし、新しいゲームの文化です。

体験を共有できるような要素は積極的に仕込んでいきたいと考えています。

――ストリーマーが問題なく配信できるように、血の表現、セックスシーン、商標がかかっている音楽等をオフにできるような機能は考えていらっしゃいますか?

最終的なシナリオが完成していない現状、何とも言えませんが、
自分の作風的に、そういった刺激的なシーンが文脈上にあったとしても、
これまでは映像として描いていません。、
今作でも、表現自体をやらない、もしくは抑えた表現にとどめると思います。

なので、オフに設定する機能はない、というよりいらないのではないでしょうか。

他版権の楽曲使用についても現段階では考えていません。

以前、可愛い女の子たちが歌を唄いながら、
飛んだり跳ねたりキラキラしたりするテレビアニメを作った際、
ジェッキー・チェンが歌う「ポリスストーリー」の主題歌を引用した金子なので、
ああいった音楽演出は、本来大好きではありますが……

最初から有名曲の使用を想定・前提としてシーンを作るのは難しいですね。
そういうのができるのは、
クエンティン・タランティーノ監督くらいズバ抜けた音楽センス、選曲センスがなくてはなりません。
なので、最後までシナリオを書き終えた後、
もしも自分らしくやれる方法を思いつけば、他版権の楽曲を使用する事があるかもしれません。
その場合には、オフに設定する機能をつけると思います。

――町田様とのプロモコラボをしていますが、
  ファンが自分の手がけているゲームではなく、相手のタイトルだけを選ぶ心配はないでしょうか?

まったく心配していません。

自分の好きなものを自由に選ぶことはとても健全だし、
何より、それがダブルキックスターターの醍醐味でもあるからです。

もちろん、『ARMED FANTASIA』を応援してくれるのはとても嬉しいのですが、
『PENNY BLOOD』と一緒に応援してくれるのは、もっと嬉しいことでもあります。

質問に対する回答から、少し脱線してしまうのですが……

しばらく前に町田さんたち『PENNY BLOOD』の開発チームと、
お互いの企画内容をすり合わせをする会議がありました。

元々自分は、世界の歴史やその裏側にあるオカルト要素が大好きで、
機会があればそうした作品を作りたいと熱望していたのですが、
ゴアシーンたっぷりに描かれる『PENNY BLOOD』のキャラクターや世界観は本当に素晴らしく、
会議中にもかかわらず、思わずその場でバッカーになることを町田さんたちに宣言したくらいです。

自分自身がすでに大ファンなので、
『PENNY BLOOD』のファンが増えるのはとても喜ばしいことでもあるのです。

いいよね、エミリア。(唐突な町田さんとこのゲームの宣伝)

――キャンペーン中、ファンからどういうフィードバック・感想を聞かせて欲しいと思いますか?

はじめてのキックスターターであり、
はじめてのキャンペーンでもあるので正直よくわかっていません。

なので、何でも忌憚なく意見を聞かせていただけたらと思います。

実際に意見の採択や実装となると、
予算や時間といった現実の壁が立ちはだかり避けて通れないのですが、
それについて考えるのはこちらの仕事です。
全てに応じられないかもしれないけれど、まずは遠慮なくどうぞ。

もちろん応援とかファンアートも大歓迎です。
スタッフ(とくに金子)の元気ややる気に直接作用すること間違いありません。

――ファンに一点だけ伝えられるとしたら、どんなことをアピールしますか?

アピールしたいポイントを絞り切れない、
幕の内弁当的な内容を目指しているところでしょうか。

それでも1つあげるとすれば、
キックスターターである以上、
今回の金子は、プロジェクトを俯瞰するお行儀の良い監修役を求められていないので、
どこをとっても「金子らしさ」に溢れた内容にしたいと考えています。

――今回のキャンペーンが失敗する心配ありますでしょうか?

心配? もちろんありますよ!
物事に成功があるならば、
その裏側にある失敗から目を逸らすわけにはいきません。

だからたくさんのスタッフたちと顔をつきあわせて、
キャンペーン内容をどうしようかと、日々、知恵を絞っている最中です。

なので、このインタビューを読んでいる皆さんのお力をぜひ貸してほしいと願っています。

それでも心のどこかに楽観視している自分がいるのもまた事実です。

自分自身の能力には懐疑的なところが多々ありますが、
それでもいつも心強い仲間が傍にいました。今回もそうです。

加えて、かつて制作に携わったゲームもアニメも、
自分はとてもファンの方々に恵まれたという認識です。

そのおかげでゲームもアニメもシリーズを重ねる事ができましたし、
それまで見た事のない景色をたくさん見させてもらっています。

不遜に聞こえるかもしれませんが、
自分は、ファンのみんなと作品を楽しむことができた稀有な人間ですので、
今回は、ファンのみんなと「作品づくり」から楽しめるんじゃないかと期待しています。

成功しても失敗しても、ぜひ一緒に「お祭り」を満喫しましょう!

チーフディレクター・石井宏規氏インタビュー

チーフディレクター・石井宏規氏
金子

トータルゲームデザイナー金子氏コメント
20年以上の付き合いとなる石井くんは、今回チーフディレクターという肩書なのですが、
彼もまた金子と同じく何でも屋で、各種デザインワークスだけでなくイベントや必殺技の絵コンテだったり、
ビジュアル表現や技術に関するアドバイスだったりとか、すでに八面六臂の大活躍をしてもらっています。
とても頼もしいスタッフではあるのですが、金子に「夢見てないで仕事しろ」と怒るのも彼の役目なので、時々怖いです。