開発アップデート
パリ五輪が開催されていますね。
JRPGが好きなみなさんにとっては、7月末に開催されたサンディエゴ・コミコンのほうがビッグニュースでしょうか?
さてさてARMED FANTASIA、今月は石井からの報告です。
『ARMED FANTASIA』2024年8月プロジェクト月報
8月になりました。
チーフディレクターの石井です。
連日の暑さの中、皆様いかがお過ごしでしょうか。
イラストでイングラム達は呑気に水遊びなどしておりますが
ロンデニアムでは水辺でもカイジュウの被害が頻発しているようです。
船の上でも油断ならないとかいう話も……。
さて、先月の月報では、
企画側、つまりは発注者の視点で
カイジュウが、アイデアからゲーム中のモデルになるまでの流れを
金子が公開していましたが、今回はその流れに対して
デザイナー側からの視点で
カイジュウが形になるまでを書いていこうかと思います。
先月の記事も踏まえて読んでいただければ幸いです。
なんだ、前回と画像が同じじゃないかと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、
記事の説明を円滑に行うためです。
決して、使い回しできてコスパ最高とか思っちゃいませんからね。
8月になりました。
チーフディレクターの石井です。
連日の暑さの中、皆様いかがお過ごしでしょうか。
イラストでイングラム達は呑気に水遊びなどしておりますがロンデニアムでは水辺でもカイジュウの被害が頻発しているようです。
船の上でも油断ならないとかいう話も……。
さて、先月の月報では、企画側、つまりは発注者の視点でカイジュウが、アイデアからゲーム中のモデルになるまでの流れを金子が公開していましたが、今回はその流れに対してデザイナー側からの視点で
カイジュウが形になるまでを書いていこうかと思います。
先月の記事も踏まえて読んでいただければ幸いです。
なんだ、前回と画像が同じじゃないかと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、記事の説明を円滑に行うためです。
決して、使い回しできてコスパ最高とか思っちゃいませんからね。
話を聞かせてもらう
まずは、金子からの
ノストラダムスの四行詩もかくやという怪文書を受け取るところから
デザイナーの仕事が始まります。
幸い、この怪文書の書き手は目の前におりますので
忙しそうにしているおっさんの隙を捕まえてヒアリングを開始。
「ンデンデキは、でっかいスッポンみたいなUMAだよ」
「固い敵だよ」「四つ足がいいな」
「甲羅の後ろから長い毛が生えているよ」と情報を引き出します。
スッポンはあんまり固くないし、地面に対して平たいデザインは画面映えしないんだよなぁ
などと思いつつも”四つ足の亀”を起点に、デザインを固める作業に入ります。
まず、「四つ足」ということで、
著名なカメ型怪獣のシルエットはあまり参考になりません。
日本で一般的な四つ足の亀は
前述のスッポンや、クサガメやミドリガメのような甲羅が平たいタイプの亀です。
画面映えを考えるとこの方向性はいまいちです。
まずは、金子からのノストラダムスの四行詩もかくやという怪文書を受け取るところからデザイナーの仕事が始まります。
幸い、この怪文書の書き手は目の前におりますので忙しそうにしているおっさんの隙を捕まえてヒアリングを開始。
「ンデンデキは、でっかいスッポンみたいなUMAだよ」
「固い敵だよ」「四つ足がいいな」
「甲羅の後ろから長い毛が生えているよ」と情報を引き出します。
スッポンはあんまり固くないし、地面に対して平たいデザインは画面映えしないんだよなぁなどと思いつつも”四つ足の亀”を起点に、デザインを固める作業に入ります。
まず、「四つ足」ということで、著名なカメ型怪獣のシルエットはあまり参考になりません。
日本で一般的な四つ足の亀は前述のスッポンや、クサガメやミドリガメのような甲羅が平たいタイプの亀です。
画面映えを考えるとこの方向性はいまいちです。
まずは描いてみる
世の中にはリクガメやハコガメの様な甲羅の高いタイプも存在しますが
今回はカイジュウのデザインでもありますので、わかりやすくワニガメあたりをモチーフに考えます。
ただ、ワニガメも、サイズが大きいとはいえ、その甲羅はどちらかと言えば平たいタイプ。
キャラクターと対峙したときの圧力の強さは、前面から見たシルエットの大きさだと思いますので
甲羅のトゲトゲ感は活かしつつ、四つ足でいられるギリギリまで前半身を起こし胸を張らせます。
必然、キャラクターを見下ろす事になりますから
首を伸ばし、さらに、小顔にすることで巨大感を表現します。
また、後ろ脚のヒザを地面に付けることで、どっしりとした安定感を増やし
起こした甲羅の影に隠れてしまわないようトゲトゲのデザインを調整することで
正面から見たシルエットに面白みを持たせます。
前面から見えるウロコを厚く大ぶりにし、甲羅の後ろから長い毛を生やしたデザインがこちらです。
世の中にはリクガメやハコガメの様な甲羅の高いタイプも存在しますが今回はカイジュウのデザインでもありますので、わかりやすくワニガメあたりをモチーフに考えます。
ただ、ワニガメも、サイズが大きいとはいえ、その甲羅はどちらかと言えば平たいタイプ。
キャラクターと対峙したときの圧力の強さは、前面から見たシルエットの大きさだと思いますので甲羅のトゲトゲ感は活かしつつ、四つ足でいられるギリギリまで前半身を起こし胸を張らせます。
必然、キャラクターを見下ろす事になりますから首を伸ばし、さらに、小顔にすることで巨大感を表現します。
また、後ろ脚のヒザを地面に付けることで、どっしりとした安定感を増やし起こした甲羅の影に隠れてしまわないようトゲトゲのデザインを調整することで正面から見たシルエットに面白みを持たせます。
前面から見えるウロコを厚く大ぶりにし、甲羅の後ろから長い毛を生やしたデザインがこちらです。
うーん、なにか物足りませんね。
心に従う
何かが足りないと心が叫んでいましたので
ここで描いたデザインを前に、思いを巡らせます。
考えながらぼんやりと筆を走らせてみるも、
なかなか物足りない原因がつかめません。
これは間々ある事なのですが、結局、風呂に入っている時に、
固さの表現が足りないのだと思い至りました。
もともとのデザインでも”固いんです”と言い張れば通ったかもしれませんが
わかりやすい固さの表現はあったほうが良いに決まっていますので、風呂での思い付きのままに
前腕に盾を装着することにしました。
何かが足りないと心が叫んでいましたのでここで描いたデザインを前に、思いを巡らせます。
考えながらぼんやりと筆を走らせてみるも、なかなか物足りない原因がつかめません。
これは間々ある事なのですが、結局、風呂に入っている時に、固さの表現が足りないのだと思い至りました。
もともとのデザインでも”固いんです”と言い張れば通ったかもしれませんがわかりやすい固さの表現はあったほうが良いに決まっていますので、風呂での思い付きのままに前腕に盾を装着することにしました。
おかげでカイジュウっぽいハッタリも多少は付いたかと思います。
盾のデザインについては
首の付け根あたりの線の流れが、ハスの花、仏座っぽいなというところから
そのラインを活かして現在の形状にしています。
ちなみに、バトル中ではこの盾を使ったちょっとしたギミックも仕込んでいます。
こういった試行錯誤を繰り返し
デザインに納得がいったら、次は金子のチェックです。
おかげでカイジュウっぽいハッタリも多少は付いたかと思います。
盾のデザインについては首の付け根あたりの線の流れが、ハスの花、仏座っぽいなというところからそのラインを活かして現在の形状にしています。
ちなみに、バトル中ではこの盾を使ったちょっとしたギミックも仕込んでいます。
こういった試行錯誤を繰り返しデザインに納得がいったら、次は金子のチェックです。
おっさんにチェックしてもらう
金子に最終チェックをしてもらいOKが出れば、自分のデザイン作業は一旦完了、
となるのですが、これがまた割と難関です。
ここでポイントになるのは金子のカイジュウに対するチェック基準です。
カイジュウ(モンスター)のデザインのチェック基準なんて
「カッコイイ」や「怖そう」じゃないの? と大抵の人は思うかもしれません。
金子は、予想してない突飛なものに出くわすと思わず「笑ってしまう」人なのですが、
初見で笑えないカイジュウデザインは、金子のチェックは通りません。
つまり、シルエットだったりギミックだったりで
最低でもなにか金子の意表を突くヒトネタが必要なのです。
過去には、これに気づかずにドツボにはまり、発注を別の人に回された事もあります。
ンデンデキのデザインを見せたときは
「やっぱ、今日びの亀ってば甲羅じゃなくてシールドだよな。
俺もそんな気がしてたんだ。採用!
ところでさっき、スベスベマンジュウガメって名前を思いついたんだが、どう思う?」
と多少様子のおかしいやりとりはあったものの、笑顔で返してくれました。
内心ホッと胸をなでおろしつつも顔には出さずに、
「ですね。」と会話になっていない返事で自然に話題をそらします。
ただ、ここからも話がドライブして
「じゃあ、こういうの思いついた」とさらにアイデアを盛ったり
新しい角度からリクエストが飛んでくることがあるので、最後まで油断がなりません。
スケジュール的に追い込まれていなければ、楽しい作業ではあるんですけどね。
金子に最終チェックをしてもらいOKが出れば、自分のデザイン作業は一旦完了、となるのですが、これがまた割と難関です。
ここでポイントになるのは金子のカイジュウに対するチェック基準です。
カイジュウ(モンスター)のデザインのチェック基準なんて「カッコイイ」や「怖そう」じゃないの? と大抵の人は思うかもしれません。
金子は、予想してない突飛なものに出くわすと思わず「笑ってしまう」人なのですが、初見で笑えないカイジュウデザインは、金子のチェックは通りません。
つまり、シルエットだったりギミックだったりで最低でもなにか金子の意表を突くヒトネタが必要なのです。
過去には、これに気づかずにドツボにはまり、発注を別の人に回された事もあります。
ンデンデキのデザインを見せたときは
「やっぱ、今日びの亀ってば甲羅じゃなくてシールドだよな。俺もそんな気がしてたんだ。採用!
ところでさっき、スベスベマンジュウガメって名前を思いついたんだが、どう思う?」
と多少様子のおかしいやりとりはあったものの、笑顔で返してくれました。
内心ホッと胸をなでおろしつつも顔には出さずに、「ですね。」と会話になっていない返事で自然に話題をそらします。
ただ、ここからも話がドライブして「じゃあ、こういうの思いついた」とさらにアイデアを盛ったり新しい角度からリクエストが飛んでくることがあるので、最後まで油断がなりません。
スケジュール的に追い込まれていなければ、楽しい作業ではあるんですけどね。
人の手を経る
出来上がったデザイン画をビー・トライブさんに回すわけですが
ビー・トライブさん側で、今の制作環境にあった形にデザインを補完していただいています。
先月の金子の月報では「チェックという名のこだわりが~」と言われていましたが
実のところ、自分はこの補完画~モデル制作の工程で
どんなアレンジが入るのかをいつも楽しみにしています。
他の人の目や手を通した際、また現場での作業工程上の工夫によるアレンジで
新しいものが出てくるのを見るのはとても面白い体験です。
もちろん抑えて欲しいポイントについては細かく言及しますが
特撮怪獣の着ぐるみ等と一緒で他人の手がはいることで完成するものもあるかと考えています。
(どうしても自分の考えたデザインが至高で逸脱を許さないというのであれば、自分で最後まで作るしかないですからね。)
先月の金子の月報では「チェックという名のこだわりが~」と言われていましたが実のところ、自分はこの補完画~モデル制作の工程でどんなアレンジが入るのかをいつも楽しみにしています。
他の人の目や手を通した際、また現場での作業工程上の工夫によるアレンジで新しいものが出てくるのを見るのはとても面白い体験です。
もちろん抑えて欲しいポイントについては細かく言及しますが特撮怪獣の着ぐるみ等と一緒で他人の手がはいることで完成するものもあるかと考えています。
(どうしても自分の考えたデザインが至高で逸脱を許さないというのであれば、自分で最後まで作るしかないですからね。)
モデルにしてもらう
モデルチェックの際には、全体のパーツバランスのイメージや
顔、もしくは顔に当たる部分の形状などを、しっかり見ることが多いです。
今回ンデンデキに関しては
ビー・トライブさんからいただいた補完画、モデルとも
補完画で、スリット部分の色味を明るめにしてもらった以外は
ほぼリテイクはありませんでした。
モデルチェックの際には、全体のパーツバランスのイメージや顔、もしくは顔に当たる部分の形状などを、しっかり見ることが多いです。
今回ンデンデキに関してはビー・トライブさんからいただいた補完画、モデルとも補完画で、スリット部分の色味を明るめにしてもらった以外はほぼリテイクはありませんでした。
素晴らしいアレンジを入れていただいて、実在感がマシマシになっていますし
この後のモーションについても非常に楽しみな出来になったと思います。
終わり
皆さんがゲームをされる際には
スッと通り過ぎてしまうかもしれないカイジュウ達ですが
このように愛を注いで制作されております。
え、金子のこだわりやネタまみれのカイジュウたちが印象に残らないわけがないって?
そうですね、
さまざまなものを皆さんの心に残せるよう、一同、引き続き全力で制作していきます。
それでは今回はここまでの話とします。
また来月。
皆さんがゲームをされる際にはスッと通り過ぎてしまうかもしれないカイジュウ達ですがこのように愛を注いで制作されております。
え、金子のこだわりやネタまみれのカイジュウたちが印象に残らないわけがないって?
そうですね、さまざまなものを皆さんの心に残せるよう、一同、引き続き全力で制作していきます。
それでは今回はここまでの話とします。
また来月。