アップデート2024年7月

開発アップデート

7月です。2024年も後半です。もうすぐ七夕ですが、みなさんは何を願いますか?
さて今月はお待ちかね、金子よりプロジェクトの報告です。

『ARMED FANTASIA』2024年7月プロジェクト月報

ゴブ沙汰しています。
トータルゲームデザイナーの金子です。

ちなみに先月、体調崩したスタッフに、
「肉食え、肉!」と提言したのも金子です。
調子が悪い時ほどモリモリ食べて治すのも映画が教えてくれました。
理屈じゃねえんだよ。

いきなり『ARMED FANTASIA』ではない話となり恐縮ですが……

ここ最近、立て続けに金子仕事がお披露目となりまして、
「アイツ仕事しすぎじゃねーか?」
「誰かに弱みを握られて仕事を断れないのでは?」
「まさか『金子彰史』って、
『八手〇郎』さんや『矢〇肇』さんみたいなシステムなのか?」と、
皆さんにご心配をおかけしているのではないかと、
むしろこっちが心配しているわけですが……
(実際なるけさんから、俺の健康を心配するメールが届きました)

落ち込んだりもするけれど、わたしは元気です。(CV:魔女子さん)

……というのも、
『プリンセッション・オーケストラ』然り、
『クラシック★スターズ』然り、
金子が着手したのは『シンフォギアXV』が終わった頃からでして、
請け負った作業の、
特にしんどい箇所は数年前に終わらせているステータスです。

なので、金子仕事の佳境が
全部同時に進行中! ハチャメチャが押し寄せて来る!
というわけではありませんので、
そこは安心していただけたらと思います。

いろいろな都合で、
たまさか発表のタイミングが重なったというのが真相です。

とにもかくにも。
『ARMED FANTASIA』同様、
新作アニメにつきましてもどうか応援よろしくお願いいたします。(宣伝)

ゴブ沙汰しています。
トータルゲームデザイナーの金子です。

ちなみに先月、体調崩したスタッフに、「肉食え、肉!」と提言したのも金子です。
調子が悪い時ほどモリモリ食べて治すのも映画が教えてくれました。
理屈じゃねえんだよ。

いきなり『ARMED FANTASIA』ではない話となり恐縮ですが……

ここ最近、立て続けに金子仕事がお披露目となりまして、
「アイツ仕事しすぎじゃねーか?」
「誰かに弱みを握られて仕事を断れないのでは?」
「まさか『金子彰史』って、
『八手〇郎』さんや『矢〇肇』さんみたいなシステムなのか?」と、皆さんにご心配をおかけしているのではないかと、むしろこっちが心配しているわけですが……
(実際なるけさんから、俺の健康を心配するメールが届きました)

落ち込んだりもするけれど、わたしは元気です。(CV:魔女子さん)

……というのも、『プリンセッション・オーケストラ』然り、『クラシック★スターズ』然り、金子が着手したのは『シンフォギアXV』が終わった頃からでして、請け負った作業の、特にしんどい箇所は数年前に終わらせているステータスです。

なので、金子仕事の佳境が全部同時に進行中! ハチャメチャが押し寄せて来る! というわけではありませんので、そこは安心していただけたらと思います。

いろいろな都合で、たまさか発表のタイミングが重なったというのが真相です。

とにもかくにも。
『ARMED FANTASIA』同様、新作アニメにつきましてもどうか応援よろしくお願いいたします。(宣伝)

何でもかんでも好きなモノを出しているわけではない

今回のアップデートは、
久しぶりに金子の担当ということで、
開発現場の舞台裏の中でも、
『ARMED FANTASIA』におけるモンスター「カイジュウ」の作り方をお伝えしたいと思います。

まず、カイジュウ個々の設定の前に、全体的な建付けから始めます。

物語の舞台となる「ロンデニアム」は、
かつては高度な錬金技術を誇り、
自然とテクノロジーが高いレベルで共存する豊かな世界でした。

そんなロンデニアムでしたが、
ある時を境に環境が激変し、「世界の理」が歪んだ結果、
原生生物の在り方にも作用して、
それまでの理の外から来訪してくる存在を生み出してしまいました。

それがカイジュウです。

つまり、変異・変質・変容した
ロンデニアム在来の生物がカイジュウデザインのベースになるわけですが……
ここでひとつ目のルールとして、
「可能な限りヒト型は避けよう」という縛りを設けました。

その理由は、
ストーリードリヴンタイプのRPGだと、
物語の牽引役がどうしても人間――つまり、ヒト型となってしまい、
登場キャラクターのシルエットが似通ってしまうからです。

御多分に漏れず、『ARMED FANTASIA』の場合も主人公たちはヒト型であり、
主人公たちを取り巻く聖鍵教会の関係者も、イコノクラスタの皆さんもヒト型です。

連中とは、何らかの理由で対峙することもままありますので、
せめて、敵味方のキャラクター以外を相手にするバトルは、
可能な限り多種多様なシルエットで、
プレイヤーの目を楽しませたいという金子の哲学(自己満足)によるものです。

今回のアップデートは、久しぶりに金子の担当ということで、開発現場の舞台裏の中でも、『ARMED FANTASIA』におけるモンスター「カイジュウ」の作り方をお伝えしたいと思います。

まず、カイジュウ個々の設定の前に、全体的な建付けから始めます。

物語の舞台となる「ロンデニアム」は、かつては高度な錬金技術を誇り、自然とテクノロジーが高いレベルで共存する豊かな世界でした。

そんなロンデニアムでしたが、ある時を境に環境が激変し、「世界の理」が歪んだ結果、原生生物の在り方にも作用して、それまでの理の外から来訪してくる存在を生み出してしまいました。

それがカイジュウです。

つまり、変異・変質・変容したロンデニアム在来の生物がカイジュウデザインのベースになるわけですが……
ここでひとつ目のルールとして、「可能な限りヒト型は避けよう」という縛りを設けました。

その理由は、ストーリードリヴンタイプのRPGだと、物語の牽引役がどうしても人間――つまり、ヒト型となってしまい、登場キャラクターのシルエットが似通ってしまうからです。

御多分に漏れず、『ARMED FANTASIA』の場合も主人公たちはヒト型であり、主人公たちを取り巻く聖鍵教会の関係者も、イコノクラスタの皆さんもヒト型です。

連中とは、何らかの理由で対峙することもままありますので、せめて、敵味方のキャラクター以外を相手にするバトルは、可能な限り多種多様なシルエットで、プレイヤーの目を楽しませたいという金子の哲学(自己満足)によるものです。

イマドキじゃないからこそという個性

次に考えるのは、
ゲーム的な都合の数々。これがふたつ目のルールとなります。

バトル担当とディスカッションをしつつ、
「素早いカイジュウが欲しい」
「炎属性のカイジュウが欲しい」
「レベリングに嬉しいボーナスモンスターが欲しい」といった
ゲーム的都合をピックアップしていき、
それからデザイナーに発注するための仕様――怪獣大百科の作成に取り掛かっていきます。

ここで取り上げたゲーム的な都合というのは、
上記したようなパラメーターの差異だけではありません。

例えば、『ARMED FANTASIA』においてヒト型以上に御法度なカイジュウとなるのが……

「(一般的に)リアルだ!と言われるようなクリーチャー」です。

想像に難くないと思いますが、
上記したようなクリーチャーは、
リアリティを出すために(馬鹿馬鹿しくしないために)、
おおよその場合、その配色が――黒系/茶色系/灰色系に偏ってしまいがち。
つまり、体数を増やすためのカラーバリエーションを設けにくくなってしまうのです。

もちろん贅沢な作りの贅沢なゲームであれば、
カラーバリエーションなんぞ無いに越したことはないし、
そもそも体数をさほど必要としないゲームであれば、
カラーバリエーションを前提としないデザインにするという選択肢もあります。

ですが『ARMED FANTASIA』は、
それなりのボリュームがあるRPGで、
それなりのボリュームをこなす間、退屈させない程度の体数のカイジュウを必要としています。
なので、カイジュウのカラーバリエーションは「ゲーム的な都合」で不可欠であり、
デザインをするにあたって大切な前提事項となっています。

「シルエットの多様化とカラーバリエーションの許容」

このふたつのルールが、
目に見えるけど見えてないカイジュウデザインにおける根幹となります。

次に考えるのは、ゲーム的な都合の数々。これがふたつ目のルールとなります。

バトル担当とディスカッションをしつつ、
「素早いカイジュウが欲しい」
「炎属性のカイジュウが欲しい」
「レベリングに嬉しいボーナスモンスターが欲しい」といったゲーム的都合をピックアップしていき、それからデザイナーに発注するための仕様――怪獣大百科の作成に取り掛かっていきます。

ここで取り上げたゲーム的な都合というのは、上記したようなパラメーターの差異だけではありません。

例えば、『ARMED FANTASIA』においてヒト型以上に御法度なカイジュウとなるのが……

「(一般的に)リアルだ!と言われるようなクリーチャー」です。

想像に難くないと思いますが、上記したようなクリーチャーは、リアリティを出すために(馬鹿馬鹿しくしないために)、おおよその場合、その配色が――黒系/茶色系/灰色系に偏ってしまいがち。
つまり、体数を増やすためのカラーバリエーションを設けにくくなってしまうのです。

もちろん贅沢な作りの贅沢なゲームであれば、カラーバリエーションなんぞ無いに越したことはないし、そもそも体数をさほど必要としないゲームであれば、カラーバリエーションを前提としないデザインにするという選択肢もあります。

ですが『ARMED FANTASIA』は、それなりのボリュームがあるRPGで、それなりのボリュームをこなす間、退屈させない程度の体数のカイジュウを必要としています。
なので、カイジュウのカラーバリエーションは「ゲーム的な都合」で不可欠であり、デザインをするにあたって大切な前提事項となっています。

「シルエットの多様化とカラーバリエーションの許容」

このふたつのルールが、目に見えるけど見えてないカイジュウデザインにおける根幹となります。

設定は理解した上で、守ったり崩したり盛ってみたり

次にというか、ようやくというか、
個別のカイジュウの設定作成・イメージ作りとなるわけですが……

今回ご紹介する「ンデンデキ」は、
アフリカ・コンゴの伝承にある有名UMAを名称の由来としたカイジュウです。

次にというか、ようやくというか、個別のカイジュウの設定作成・イメージ作りとなるわけですが……

今回ご紹介する「ンデンデキ」は、アフリカ・コンゴの伝承にある有名UMAを名称の由来としたカイジュウです。

伝承をそのままなぞらえると、
ンデンデキの甲羅は柔らかいとのことですが、
カラーバリエーションで体数を増やすことを考えて汎用性を持たせたのと、
バトル担当からの「固いカイジュウが欲しい」という要望に沿った結果、
がっちり堅固で、どっしり重量を感じさせるデザインとしてもらいました。

前脚のカッコ良く発達した盾状甲殻が目を引きますが、
これはデザイン担当である石井くんのアイデアです。
バトル担当からの「固い」というゲーム的都合をカッコ良く昇華した部分となります。

伝承をそのままなぞらえると、ンデンデキの甲羅は柔らかいとのことですが、カラーバリエーションで体数を増やすことを考えて汎用性を持たせたのと、バトル担当からの「固いカイジュウが欲しい」という要望に沿った結果、がっちり堅固で、どっしり重量を感じさせるデザインとしてもらいました。

前脚のカッコ良く発達した盾状甲殻が目を引きますが、これはデザイン担当である石井くんのアイデアです。
バトル担当からの「固い」というゲーム的都合をカッコ良く昇華した部分となります。

個人的なポイントは、
甲羅の後方からフサフサと生えた毛。
これは蓑亀の亀毛という奴で、
浦島太郎を描いた絵巻や草子なんかで目にした方もいるのではないでしょうか。
思い返してみると…
世の中のあちこちに亀モチーフのモンスターはたくさんあれど、
亀毛が生えたのって意外に見かけないかも?と思い立ち、
仕様書の中でオーダーしてみました。(亀毛付きがすでにいたらゴメンナサイ)

この段階まで来るとデザインは概ねFIXとなり、
作業は金子の手を離れて、
石井くんやビー・トライブのデザイナーさんに渡っていきます。

個人的なポイントは、甲羅の後方からフサフサと生えた毛。
これは蓑亀の亀毛という奴で、浦島太郎を描いた絵巻や草子なんかで目にした方もいるのではないでしょうか。
思い返してみると…
世の中のあちこちに亀モチーフのモンスターはたくさんあれど、亀毛が生えたのって意外に見かけないかも?と思い立ち、仕様書の中でオーダーしてみました。(亀毛付きがすでにいたらゴメンナサイ)

この段階まで来るとデザインは概ねFIXとなり、作業は金子の手を離れて、石井くんやビー・トライブのデザイナーさんに渡っていきます。

The Colour Out of Space

と、いうことで!
ビー・トライブのデザイナーさんに、
ンデンデキの線画をディティールアップしてもらいました!!
おめかし終えて、すっかり見違えるよう。
色分けの他に質感のタッチも加わって、カイジュウとしての存在感も増しています。

と、いうことで!
ビー・トライブのデザイナーさんに、ンデンデキの線画をディティールアップしてもらいました!!
おめかし終えて、すっかり見違えるよう。
色分けの他に質感のタッチも加わって、カイジュウとしての存在感も増しています。

ちょっと脱線ですが、
金子の場合、デザインの可否はディティールアップの前の段階である、
線画でのチェックにこだわっています。

もちろんディティールアップ以降の修正は、
作業の巻き戻りが発生し、対応が大変になるからというのもありますが……
そんな現場の都合というより、どちらかというと、
色やタッチでごまかされた「雰囲気イケメン」を許したくないというのがその理由です。
いつだってカイジュウはすっぴん勝負。
まず線画の段階で、ひと笑い頂戴してくれるのを合格基準としています。

ちょっと脱線ですが、金子の場合、デザインの可否はディティールアップの前の段階である、線画でのチェックにこだわっています。

もちろんディティールアップ以降の修正は、作業の巻き戻りが発生し、対応が大変になるからというのもありますが……
そんな現場の都合というより、どちらかというと、色やタッチでごまかされた「雰囲気イケメン」を許したくないというのがその理由です。
いつだってカイジュウはすっぴん勝負。
まず線画の段階で、ひと笑い頂戴してくれるのを合格基準としています。

恐怖の宇宙線

デザインとディティールアップが完了すると、
いよいよモデリングです。(これもビー・トライブさんのお仕事)
元となる設計図があるとはいえ、
どこから見てもカッコ良く仕上げなければいけないし、
場合によっては立体として組み上げた際に生じる、
平面デザインでは見落としていた不整合部分を修正しなければなりません。

どこまで元のイメージを保ちつつ、立体として成立させるか、
石井くんのチェックという名のこだわりが発揮されるところとなります。

デザインとディティールアップが完了すると、いよいよモデリングです。(これもビー・トライブさんのお仕事)
元となる設計図があるとはいえ、どこから見てもカッコ良く仕上げなければいけないし、場合によっては立体として組み上げた際に生じる、平面デザインでは見落としていた不整合部分を修正しなければなりません。

どこまで元のイメージを保ちつつ、立体として成立させるか、石井くんのチェックという名のこだわりが発揮されるところとなります。

さらにカッコ良くなるようなアレンジがちょっとずつ加えられているのも嬉しいところ。
ビー・トライブのモデラーさんのこういうトコ好きです。

余談ですが、
この段階での金子の仕事は、
すっかり語彙力を喪失させて「スゲェ」とか「いいなあ」と、
感嘆を呟くくらいになってしまい、
ゲーム開発者というよりも、ただの怪獣好きのおっさんに堕落してしまいます。

そして、ここから先の作業として、
テクスチャーを貼ったり、光と影の処理を加えることで、
いよいよ完成となるわけですが……

完成したンデンデキがどんなものになるのかは、
ぜひ、どこかのフィールドにて遭遇して、
皆さんの目で確かめていただけますでしょうか。(ついでに殺したり殺されたりしてください)

さらにカッコ良くなるようなアレンジがちょっとずつ加えられているのも嬉しいところ。
ビー・トライブのモデラーさんのこういうトコ好きです。

余談ですが、この段階での金子の仕事は、すっかり語彙力を喪失させて「スゲェ」とか「いいなあ」と、感嘆を呟くくらいになってしまい、ゲーム開発者というよりも、ただの怪獣好きのおっさんに堕落してしまいます。

そして、ここから先の作業として、テクスチャーを貼ったり、光と影の処理を加えることで、いよいよ完成となるわけですが……

完成したンデンデキがどんなものになるのかは、ぜひ、どこかのフィールドにて遭遇して、皆さんの目で確かめていただけますでしょうか。(ついでに殺したり殺されたりしてください)

ひょうきん懺悔室

最後に。

端折り端折りのつもりでしたが、
ずいぶんと長い長いカイジュウの作り方となってしまいまして、申し訳ありません。
ここまでのお付き合いありがとうございました。

当初は、カイジュウのデザインなんて、
金子が好きなモノとケミカルXをぶち込んでかき混ぜたら完成!と、
ユートニウム博士の仕事くらい乱暴に済ませるつもりでしたが、
思ってた以上に真面目に語り込んでしまいました。猛省。

言いたいことならどれくらい、
あるかわからなく溢れてる。
わたし心はおしゃべりだわ。……と、昔の人は言ってましたが、ホントそうですね。

最後の最後に。

今回のテキスト、英訳される方の苦労・難易度をまったく忖度していません。
日本人でもきっと全部を理解できない意味不明の言葉の羅列、あいすみません。

最後に。

端折り端折りのつもりでしたが、ずいぶんと長い長いカイジュウの作り方となってしまいまして、申し訳ありません。
ここまでのお付き合いありがとうございました。

当初は、カイジュウのデザインなんて、金子が好きなモノとケミカルXをぶち込んでかき混ぜたら完成!と、ユートニウム博士の仕事くらい乱暴に済ませるつもりでしたが、思ってた以上に真面目に語り込んでしまいました。猛省。

言いたいことならどれくらい、あるかわからなく溢れてる。
わたし心はおしゃべりだわ。……と、昔の人は言ってましたが、ホントそうですね。

最後の最後に。

今回のテキスト、英訳される方の苦労・難易度をまったく忖度していません。
日本人でもきっと全部を理解できない意味不明の言葉の羅列、あいすみません。